アサヒ飲料株式会社
本部研究開発本部 研究開発戦略部 研究企画グループ
小杉亘氏
健康志向の高まりとともに、飲料市場で注目を集める炭酸水。特に近年は、その爽快感だけでなく、疲労回復やリフレッシュ効果への期待が高まっています。今回は、アサヒ飲料で炭酸水の価値向上の為の研究や啓発を担当している小杉亘さんに、炭酸水市場の変化と最新の研究について詳しく伺いました。
健康志向の高まりとともに、飲料市場で注目を集める炭酸水。特に近年は、その爽快感だけでなく、疲労回復やリフレッシュ効果への期待が高まっています。今回は、アサヒ飲料で炭酸水の価値向上の為の研究や啓発を担当している小杉亘さんに、炭酸水市場の変化と最新の研究について詳しく伺いました。
―現在注目されている炭酸水の効果について教えてください。
小杉:現在、日常のオフィスシーンやeスポーツシーン、暑熱環境シーン等で炭酸水を飲用するとどのような効果が期待できるか注目しています。これまで、精神的な疲労を伴うパソコン作業などの合間に炭酸水を飲用すると眠気の高まりを抑えられることが分かってきています。また特に午後の時間帯に飲用すると効果的であることもわかってきました。eスポーツや暑熱環境でも、日常に役立つ効果が少しずつ明らかになってきました。詳細は「アサヒ炭酸ラボ」をご覧ください。
アサヒ炭酸ラボ:https://www.asahigroup-holdings.com/rd/library/tansan/
―アサヒ炭酸ラボではどのような活動を行っているのでしょうか。
小杉:炭酸飲料のリーディングカンパニーとして、炭酸水がもたらす「眠気予防」「意欲の低下抑制」「集中力向上」といった健康効果や、「eスポーツの面白さ向上」「フェアプレー促進」などのユニークな効果を研究・発信しています。また、二酸化炭素の誕生から現代に至るまでの炭酸の歴史に関する情報も提供しており、大学や研究機関と連携しながら、脳波測定や自律神経機能の評価など、最新の測定技術を活用して研究を進めています。得られた知見は、わかりやすい形で社会に発信することを心がけています。
―eスポーツと炭酸水の関連性について、興味深い研究結果があると伺いました。
小杉:筑波大学との共同研究で、非常に興味深い結果が得られています。eスポーツ経験のある学生15名を対象とした実験では、幾つかの重要な発見がありました。1つ目は認知機能への効果です。3時間のプレー後、水を飲んだ場合と比べて、強炭酸水を飲んだ場合の方が認知課題処理速度の回復量が有意に高いことがわかりました。
出典:「アサヒ炭酸ラボ」
出典:「アサヒ炭酸ラボ」
―抗疲労効果があったということでしょうか
小杉:研究を継続中ですが、抗疲労に役立つ効果が期待できると考えています。そして2つ目は空腹感の抑制効果です。水を飲んだ場合は1時間後から空腹感が高まり始めるのに対し、強炭酸水では3時間後でも空腹感の有意な上昇は見られませんでした。これは規則正しい食生活の支援にも繋がる可能性があります。
出典:「アサヒ炭酸ラボ」
―オフィスワーカーを対象とした研究についても教えてください。
小杉:オフィスワーカーを対象とした研究でも、幾つかの効果が確認されています。1つ目は、精神的疲労によるリラックス度合いの低下を抑制する効果です。パソコン作業の合間に強炭酸水を飲むと、弱炭酸水や水と比較して、実験前のリラックス状態を最も維持できることがわかりました。
実験前後の「リラックス」評価 (VAS*2による主観評価)
出典:「アサヒ炭酸ラボ」
小杉:2つ目は眠気の予防効果です。弱炭酸水や水では眠気評価が高くなる傾向が見られたのに対し、強炭酸水では眠気評価の高まりが見られませんでした。
実験前後の「眠気」評価 (VAS*2による主観評価)
出典:「アサヒ炭酸ラボ」
小杉:3つ目は作業効率への影響です。32名の成人就労者を対象とした実験で、強炭酸水を飲んだ直後の5分間は、タイピングの総打数と正打数が有意に増加し、同時にストレス度の低下も確認されました。
出典:「アサヒ炭酸ラボ」
小杉:オフィスワーク、リモートワークを問わず、これらの効果は非常に注目されています。強炭酸水の刺激や爽快感が、スッキリ感をもたらし、眠気や気分の悪化を防ぐ要因として考えられています。
―炭酸水をそこまで意識して取り入れてはいなかったのですが、効果を期待して意識的に摂取することも必要ですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。
小杉:ありがとうございました。これからも炭酸水の新たな可能性を追求し、皆様の心地よい生活の実現に貢献できるよう努めてまいります。
【プロフィール】
アサヒ飲料株式会社 研究開発本部 研究開発戦略部
小杉 亘氏
最近の興味領域は、抗疲労ソリューションとしての炭酸水の可能性に関心を持っています。炭酸刺激による爽快感や気分転換といった経験的に感じていたことを、科学的に明らかにしていくことで、これまで炭酸水を飲用されてない方にも関心を持っていただくきっかけをつくっていきたいと考えています。
アサヒ炭酸ラボ:https://www.asahigroup-holdings.com/rd/library/tansan/