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休養学の豆知識
2021年、OECDが実施した調査で驚くべき事実が明らかになりました。OECD加盟国の平均睡眠時間が8時間28分であるのに対し、日本人の平均睡眠時間はわずか7時間22分。これは加盟国中で最下位という結果でした。興味深いことに、同じく睡眠時間が短い韓国も7時間51分と、日本と並んで下位に位置しています。一方、ドイツは平均値よりは短いものの、日本人より56分多く睡眠時間を確保しています。
出典:経済協力開発機構(OECD)2021のデータをもとに作成
かつて日本人は「働きバチ」と呼ばれ、働きすぎが深刻な社会問題として取り上げられていました。しかし2021年のOECDデータによると、日本の年間平均労働時間は1,607時間。これは世界平均の1,716時間を大きく下回っています。一般的に「日本人は働きすぎ」というイメージがありますが、実際にはOECD加盟国の中でも比較的労働時間が少ない国の一つであり、必ずしも日本人が突出して働きすぎというわけではないのです。
特に興味深いのが、ドイツとの比較です。ドイツの年間労働時間は1,349時間で、日本より258時間も短くなっています。これを1日8時間労働で換算すると、年間でおよそ32日も多く休んでいることになります。一方、韓国は1,915時間と、日本よりもさらに多くの時間を労働に費やしています。
出典:経済協力開発機構(OECD)2021のデータをもとに作成
しかし、各国の人々の自由時間の過ごし方の希望には、興味深い違いが表れています。
日本人の特徴は「休息・睡眠」が圧倒的多数。労働時間が短いドイツ人の傾向は、「休息・睡眠」が1位ではあるものの、「人との交流」も重視しています。注目すべきは韓国人の過ごし方。日本人同様睡眠時間が短く、労働時間も長い韓国人ですが、「運動・スポーツ」が1位、人との交流も上位となっています。睡眠以外の過ごし方が「休養」になると考えているのではないでしょうか。
出典:マクロミル、翔泳社のデータ(2019年)をもとに作成
統計的には十分な休みを取得しているはずの日本人。それにもかかわらず、約8割が疲れを感じ、自由時間の過ごし方には「休息・睡眠」を希望しています。これは単に休暇日数の問題ではなく、以下の要因が考えられます。
1. 慢性的な睡眠時間の不足
2. 休養の質の低下
3. 効果的な休養の取り方への理解不足
働き方改革などの施策は実施されているものの、まだ十分な効果を上げているとは言えません。休養の「量」だけでなく「質」を向上させる取り組みが必要とされています。次回は、これらの課題を踏まえた上で、より効果的な休養の取り方について、具体的な方法を解説していきたいと思います。