【研究発表】東海大学医学部と日本リカバリー協会による全国10万人の共同調査を、英語論文で発表

一般社団法人日本リカバリー協会(事務局:神奈川県厚木市、代表理事:片野秀樹)は、同協会が保有する大規模健康疫学調査「ココロの体力測定」を基礎としたし、東海大学医学部との新たな共同研究を実施し、その結果を医学誌「Tokai Journal of Experimental and Clinical Medicine(Vol.51, No.1, 2026)」にて発表いたしました。

研究背景

近年、日本におけるストレスは大きな社会課題となっており、厚生労働省の調査でも多くの人が日常的にストレスを感じていることが報告されています。一方で、これまでのストレス研究は主に職域(働く人)を対象としたものが中心であり、一般生活者全体を対象とした大規模な実態把握は十分に行われていませんでした。このような背景のもと、一般社団法人日本リカバリー協会が保有する大規模健康調査データ「ココロの体力測定」を活用し、日本全国の生活者を対象に、ストレスの実態とその対処行動を明らかにすることを目的として本研究が実施されました。

研究方法

本研究は、2023年4月から7月にかけて、全国の20歳から70歳までの男女10万人を対象に、オンライン調査として実施されました。調査では、性別・年齢・世帯年収・職業などの基本属性に加え、厚生労働省のストレスチェック制度で用いられている「職業性ストレス簡易調査票(29項目)」を使用し、ストレス状態を評価しました。また、日常的に行っているストレス対処・回復行動(157項目)や、睡眠時間、労働時間、通勤時間などの生活習慣についても併せて分析を行いました。ストレススコア77点以上を「高ストレス群」と定義し、統計分析およびロジスティック回帰分析により、ストレスに影響を与える要因を抽出しました。

研究結果

本研究の結果、日本人のストレス実態について以下の点が明らかになりました。まず、高ストレスと判定された割合は、男性14.8%、女性17.7%となり、従来の職域調査で想定されていた約10%を上回る結果となりました。特に20代および30代の若年層において高ストレス者の割合が高く、キャリア形成期における心理的負荷の高さが示唆されました。また、生活環境との関係では、低所得層ほどストレスが高い傾向が見られ、長時間労働や長時間通勤もストレス増加の要因として確認されました。一方で、睡眠時間およびリラックス時間とは負の相関が見られ、睡眠不足がストレス増大に強く影響していることが明らかになりました。

日常のストレス対処行動としては、男女ともに「睡眠」および「入浴」が最も多く選択され、基本的な回復行動の重要性が再確認されました。一方で、高ストレス群では、男性は「整体・マッサージ」、女性は「一人になれる空間(トイレなど)」といった行動が特徴的に見られました。さらに分析の結果、高ストレスに最も影響する要因として、「睡眠不足」「長時間労働」「低世帯収入」の3点が抽出されました。これらは個人の努力だけでは解決が難しい、生活環境や社会構造に起因する要因であることが示唆されています。

コメント(一般社団法人日本リカバリー協会 代表理事 片野秀樹)

「今回の調査で明らかになったのは、日本人のストレスの本質が“個人の問題”ではなく、“生活環境の問題”であるという点を浮き彫りにしました。特に睡眠不足や長時間労働、経済的な余裕のなさは、いずれも回復の機会を奪い、慢性的な疲労とストレスを生み出します。これは換言すれば、“環境”を整えることで、ストレスは大きく軽減できる可能性があるということを示唆しています。私たちが提唱する『休養学』は、単に休むのではなく、心身の状態に応じて回復を最適化するものです。今回、その必要性を科学的に裏付ける結果となりました。企業や自治体と連携しながら、誰もが適切に回復でき、豊かな生活につながる社会の実現を目指して今後も活動していきたいと考えています。」

掲載論文

本研究は、以下の学術誌に掲載されています。
論文タイトル:Nationwide Online Stress Survey of 100,000 People in Japan
掲載誌:Tokai Journal of Experimental and Clinical Medicine
巻号・ページ:Vol.51, No.1, pp.13–22
掲載年:2026年
著者:松木勇樹(東海大学医学部)、春木崇(日本リカバリー協会)、水野敬(神戸大学ほか)、渡辺恭良(神戸大学他)、片野秀樹(日本リカバリー協会)、松木秀明(東海大学他)