からだケア

お風呂の疲労回復効果を高める入浴法はありますか?

リラックス湯温の目安は39℃。1回15分の入浴で指先・つま先まで温かさが長持ちします。

リカバルのに効果的な適温・入浴時間、意識していますか? どんなに忙しくてもシャワーですませず、入浴する。よい心がけですが、ひょっとしたら、逆に疲れる入り方をしているかもしれません。

医学的に証明されているお風呂の疲労回復効果

お風呂に入ると疲れが取れる。シャワーよりもリラックスする。多くの人が体感していることでしょう。心も体も開放的になれるから? もちろんそれもありますが、医学的に証明されているつの物理的な作用があります。

その1:「浮力」で筋肉が緩み、心身共にリラックス
湯船につかると体重が約9分の1程度まで軽くなります。すると、人の体重を支えている筋肉に負担が減り、また弛緩してくるので全身がリラックスします。

その2:「水圧」で心肺機能が高まり血行を促進
人が水中に潜ると、水深30㎝では1㎠あたりの圧力は約1.06kg。入浴中も体にはかなりの水圧がかかることになります。腹部が圧迫されることで横隔膜が上に押し上げられますが、これこそが、お湯につかった瞬間に出る「はあ~」の理由。同時に酸素をしっかり取り込み、呼吸の回数が増えることで心肺機能が高まり血行が促進されます。

その3:「温熱」作用が一酸化窒素を増やし、疲労回復を助ける
ノーベル医学・生理学賞を受賞したルイス・J・イグナロ博士らの研究により、近年、血管をしなやかに若返らせる物質として「一酸化窒素」が注目を集めています。一酸化窒素は血管に存在し、血管を広げる効果がありますが、入浴の温熱効果で分泌が促されます。血流にのって老廃物が押し流され、コリや疲れがほぐれるのです。

リカバルのに適した湯温は39℃

入浴の疲労回復効果についてはさまざまな研究が行われていますが、その中でもまず意識したいのがお湯の温度。リカバル読者にはおなじみの、自律神経機能に働きかけることが実験により証明されています。

10分間入浴したときの自律神経機能の変化を測定した実験では、41℃で急激に交感神経が高まり、39℃でもっとも副交感神経が優位になることがわかりました。37℃と39℃を比較すると、若干37℃が交感神経に傾いていることから、ぬるければいいわけではないことがわかります。
浴室が寒い・暑いなど、室温との温度差も考慮して最適温度を知っておくと、よりリラックスできますよ。

1回15分の入浴で指先・つま先まで温かさ長持ち

心臓から送り出された血液が全身をぐるりと巡るのに、平均で約1分間かかると言われます。10分お湯につかれば10周、30分つかれば30周という具合ですが、先ほどのお湯の「適温」と同じように、入浴時間にも適した長さがあります。

疲労回復に適した湯温の「39℃15分間」と、やや熱めの「42℃3分間」の、入浴前~入浴後の体温変化をサーモグラフィで確認した実験です。入浴直後は「42℃3分間」の方がしっかり温まっていますが、入浴後30分経過すると、温かさが長持ちしているのは「39℃15分間」。体の芯までしっかり温まっていることがわかります。39℃でも25分程度になると心拍数が上がってきてしまいますから、長湯には注意しましょう。

入浴前の水分補給をお忘れなく

入浴することで、体は思いのほか発汗。41℃で15分間お風呂に浸かると、体内の水分が失われることで血液は約10%減少し、いわゆるドロドロの状態になります。入浴後は喉の渇きから無意識的に水分補給しているのではないかと思いますが、入浴前にコップ1杯のお水を飲むこともお忘れなく。血液循環がよくなれば、疲労回復にも効果あり。湯温や入浴時間と併せて心がけてみてください。

この記事のリカバリ用語

  1. 自律神経